推理パズル(後編)

パズルエッセイ第10回目は昨日の続きである。
予定通り前後編になりそうです。よかったよかった。

88号で季刊に戻ったそのときから、編集長の安福さんによる
パズル制作講座が始まった。パズルの作り方は人それぞれなので
その作り方が唯一のものということはないが、パズル作りのポイントが
しっかりと解説されており、創作意欲を掻き立ててくれた。
しばらくすると推理パズルがテーマのときがあった。
いったいどうやって作るのだろうとわくわくしながら読んでいたが、
その作り方に驚いた。なんと安福さんは推理パズルを作る場合、答えを決めていないというのだ!!

答えというのは、例えば、いつ、誰が、どこで、何をしたなどというものであるが、
各項目の具体的な内容は与えておくが、それらの組み合わせはまったく気にしないというものである。
これには正直驚いた。まさに目からうろこが落ちたような感じであった。

それまで僕は、推理パズルを作る場合には答えを決めていて、その答えが導かれるように
ヒントを作ろうとしていたのだ。ところがこの場合、なかなか思うようにヒントが作れず、
また、せっかく全ての表に○か×が埋まったとしても、用意していた答えと矛盾してしまったりと、
うまくいかなかったのだ。
だから安福さんの手法を見たときは心底驚いた。こんな方法があったのか!と。

一旦作り方がわかったら、これはもう作るしかないだろう、そう思った僕は
まず推理パズルの題材を探した。
安福さんも述べていたが、推理パズルというのは論理的な解き味とともに
魅力あふれる設定が必要な作品である。それだけに他のパズルに比べて
作るのが大変だが、両者が見事に合わさった場合、すばらしい作品が出来上がるのである。
ただ、いきなりそのような作品を作るのは難しいので、まずは自分の趣味のなかから
テーマを選ぼうと思った。

僕は映画を見ることが好きなので、最初の作品は映画をテーマにした
パズルを作ることにした。実際にこんな映画があったらいいなというような
タイトルをつけ、実在する映画スターの名前をいろいろと組み合わせたりして
項目を設けていき、準備が整ったらヒントをつけ始めた。
ヒント作りは大変だったがその甲斐あって作品は無事完成した。
記念すべき第一作は見事105号に掲載された。

その後も何度か推理パズルを作って投稿したが、今までとは違って
結構な確率で採用されているのである。見開き2ページを独占できることや、
あぜん坊マークをもらえるという、推理パズル1問の持つ
本誌構成への影響力の大きさを僕は知ることになった(ちと大げさか)。
そして見開き独占の喜びを知った僕は決心した。
こうなったらもう推理パズルを作り続けるしかないな、と。

ちょっと長くなってしまった。やはり3回に分けて書くべきだったかな。
というわけで(どういうわけだ(笑))、次回からは掲載された作品の
裏設定みたいなものを語っていこうと思います。どうぞお楽しみに。