名探偵ニコリの事件簿2018 ダブルフォックス ~騙し合いの末路~ 第1話

名探偵ニコリの事件簿2018

ダブルフォックス
~騙し合いの末路~

第1話 プロローグ編





※お断り※

この報告記事では、観客参加型推理イベントという特性上、事件の内容や真相等の詳細な部分について語ること、いわゆるネタバレとなるような内容については一切記載しておりません
そのため、未参加の方には何を言っているのか全く分からない部分が多々あると思います。

本当は詳細を書きたいのですが、本イベントは今後、大阪・福岡と別の地域でも開催予定であり、それを楽しみにしている方々に詳細情報が漏れてしまうことを防ぐための措置として詳細を伏せた報告記事となっております。
予めご了承ください。

なお、本イベントについては東京公演での内容を記載しております。
イベントの開催時間や進行の流れ、手がかり入手の方法などは、他地域で開催されるものと一部異なる部分がある場合がございます。
あわせてご了承ください。


上記2点をご了承のうえ、参加報告をお楽しみください。






8月11日 PM 3:20 池袋 ホテルメトロポリタン


連日35度を超える猛暑日が続いたかと思うと一転、集中豪雨や日本列島を東から西へ横断するように台風が通過するなど、異常の一言で言い表すにはあまりにもおかしな天候が続く今夏の日本。
昨年僕はタイ・バンコクで過ごしたが、バンコクの夏は暑いと言えば暑いが日本に比べて日差しが肌に突き刺さるようなものではなく、比較的穏やかな日照りだった。

また、タイは主に雨期と乾期に分かれており、この時期は雨期の真っただ中。1日に一度は雨が降り、そのたびに多少気温が下がるなど、割と過ごしやすかった記憶がある。
このタイとの気候の落差もあってか、今年の日本は特に暑いな…余計にそう感じる日が続いている。

しかしこの日は、午前中こそは晴れていたがお昼になると雲が少しずつ広がり、いつ雨が降り出してもおかしくなさそうな空模様であった。

雨が降り出す前に目的地につけるかな?

そう思いながら山手線で移動を始めた僕。しかし残念ながらその期待は目的地に着く直前に裏切られた。

池袋駅に降り立った途端に雨が降り始めたのだ。

とはいえ最近都内では雨が降ることが少なく、気温のさらなる上昇に加えて、水不足となる可能性も懸念され始めていた。
これで少しは過ごしやすい気温になってくれるといいなと思いながら移動しているとついにそのホテルにたどり着いた。


ホテルメトロポリタン

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ホテルメトロポリタン 外観


このホテルは今から30年以上前に開業され、地方や外国から東京を訪れる観光客に憩いの場を提供し続けている。
一方でホテル内には、催事や会議等を開催可能な宴会場レストラン・バーフィットネスクラブ、さらにはブライダル施設も設けられており、ホテルを訪れる客に様々なサービスを提供している。

また、このホテルでは年に数度、非常に独特な企画を開催している。

それが…




ミステリーナイト


である。


ミステリーナイトとは、目の前で発生した不可思議な殺人事件の真相を推理し、解決に導く観客参加型の本格推理イベントである。

もう少し具体的に説明しよう。

このイベントは大きく分けて「事件編」「捜査編」「解決編」という三部構成からなる。


まず、事件編では、イベントのメイン会場にて、ある演劇を見ることになる。(上演時間は1時間ほど)
そしてこの物語の最終盤で謎の殺人事件が発生する!

推理小説やテレビで放送される推理ドラマ、さらには


とか

「真実はいつもひとつ!!」

という決め台詞が話題の推理漫画などではここから探偵役である主人公が事件の謎について推理し、犯人とトリックを解明する、ということになるがミステリーナイトではここで物語が一度ストップする。

ここでイベントは捜査編へと移行する。
捜査編の詳細は後述するが、ここではイベントに参加している客が自らの足で事件に関する手がかりを集め、
事件の真相を推理することになる。
つまり…

参加者であるあなた自身が探偵として
事件の真相解明にあたる

ことになるのだ!

「捜査っていったって、どうせ子供だましの簡単なものでしょう?」
「誰にでも犯人がわかるんじゃないの?」

と思っている方もいるかもしれない。

しかし、実際に参加してみればわかるが、事件の内容は本当に先述の推理小説のように奇々怪々としたものであり、さらに犯人当てという企画である以上、事件の真相や犯人はすぐには分からない
また、得られる手がかりについても、現場の様子を再現した写真だったり、ここに血痕がついていた、指紋がついていた、といった実際の科学捜査をほうふつとさせる情報が得られたり、さらには容疑者たちへ直接質問して彼らの証言を入手するなど、非常に凝った作りになっている。

この捜査編では、自分が探偵になるという、普段の日常では絶対に味わえない体験が可能なこの企画にぜひ参加してみてほしい。

そして最後は解決編となる。
事件編の最後に発生した殺人事件について、容疑者たちは再度検証を行い、謎を一つずつ紐解いていき、そしてついに事件の真相が明かされることとなる。

また、解決編終了後には正解発表と表彰式が行われ、優秀な推理を披露した参加者たちには豪華賞品名探偵であることの証であるバッジが授与される。

…というのがミステリーナイトの一連の流れである。

現在毎年8月に東京大阪福岡の3都市で公演が開催されている。
東京では毎年4日間開催され、1日あたりの参加者は最大400人!
4日間合計でなんと1600人の探偵たちが、目の前で繰り広げられる殺人事件に挑み、日本一の探偵を決定する一大イベントである。


僕がこのイベントに参加したのは今からさかのぼること12年前。2006年7月のことである。
当時学生だった僕は福岡に住んでおり、学生時代の思い出にということでミステリーナイトに参加して以来
自分が探偵になって事件を推理するということにすっかり魅了され、毎年夏になるとミステリーナイトにずっと参加してきた。
また、ミステリーナイトを主催する企画制作団体・E-pin企画(イーピン企画)ではこれ以外にも様々な本格推理イベントを開催しており、そちらのほうにもいろいろと参加してきた。

しかし、昨年は仕事の都合により、まさかの海外生活となってしまい、ミステリーナイトには参加できなかったのだ。
昨年はミステリーナイト生誕30周年&新本格ミステリ誕生30周年というダブル記念を祝うための特別公演が開催されていたようだ。
その記念公演に参加できなかった悔しさは今も残っている…


…と、ちょっと話が暗くなりそうなので話題を変えよう(^^;

上記のこともあり、今回僕は2年ぶりにミステリーナイトに参加することになる。
そのため、いつも見ているホテルメトロポリタンの前に着いたとき、

「うわあ懐かしい!!」

と思わず声に出してしまうくらいに郷愁を感じた(^^

雨が降ってはいたがそんなことが気にならない―少しは気にしたほうがいいのだろうが(^^;―くらいに、またこのホテルを訪れることができてうれしかった。


また今年から気持ちを新たにミステリーナイトを楽しもう!

メトロポリタンさん、お久しぶりです!よろしくお願いします!

そう思いながらホテルの玄関口をくぐった。


さてここからはミステリーナイト参加を検討している方々向けに、イベントの流れを時系列順に書いていってみようと思う。
ミステリーナイト参加報告記事は毎回非常に長く、読む価値があるのかどうか、そもそも記事の需要があるかどうかすら定かではないが、ありがたいことにまれに「ブログを参考にさせてもらいました!」とイベント会場で直接声をかけていただくことがある。
どうやら需要はあるようだ(^^
そんな方々のためにこの記事がミステリーナイト参加の後押しになれば幸いである。


PM 3:20 チェックイン待機

ホテルに着いたらまず「チェックイン」をしよう。

ただし、ミステリーナイト参加者のチェックインは、通常の宿泊時のチェックインとは異なり、フロントではなく、別の場所に設けられた特設カウンターにてチェックインをすることになる。
カウンターの場所は毎回変わるがホテル内に案内板が設けられているのでそれを参考にカウンターへ向かおう。

今回チェックイン開始は午後4時からだったのだが、僕を含め、早めにチェックインすることを狙っているのかすでに4,50名ほどの探偵(参加者のこと)たちがチェックイン開始を待っていた。


…みんなせっかちだなあ(^^;;


…というのはおいといて…

チェックインではホテルに宿泊するときと同様に自室の鍵(メトロポリタンではカードキー)が手渡されるが、この時、探偵手帳と呼ばれるアイテムもあわせて手渡される。

探偵手帳とは、今回発生する事件のあらまし登場人物のプロフィール、さらにはイベントの流れ及びイベント中における留意点等が記してある、いわゆるルールブックのようなものである。
イベント参加者は常に携行を求められるため、捜査中は忘れずに持っていこう。

また、ミステリーナイトでは毎回何かしらの記念品が配布されており、イベントのメインビジュアルが描かれた特製ブックカバーがあわせて配布された。
ブックカバーは文庫本サイズのもののようであり、推理小説を読む際につけるとなかなかいい感じの装丁になるのではないだろうか。

今回のチェックインではまず探偵手帳や記念品等の配布物を受け取り、チェックインを待機することとなった。
中身を確認しながら午後4時のチェックイン開始を待っているとホテルのスタッフから
部屋の準備が早めに完了したのでチェックイン開始時刻が15分繰り上がり、午後3時45分よりチェックイン開始となる、とのありがたい連絡を受けた。

チェックイン開始から待つこと5分ほど。僕のチェックインも完了。カードキーを受け取り、スタッフから「推理頑張ってください!」と激励を受けたのち、宿泊することとなる部屋へ向かった。

ほどなくして部屋に到着。客室の雰囲気も懐かしい!!

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客室の写真

さあやるぞ!!

ということで僕は自室内で行動を開始した。


PM 3:55 家宅捜索

ここまで記事を読んでくれた方は、このミステリーナイトが他にはない独特なイベントだという風に感じていることだろう。
それは正しい。
そしてその独特さゆえに自室に到着早々やらねばならないことがあるのだ。

それが「家宅捜索」である。

実は客室には、事件解決につながる重要な手がかりが隠されているのである。

その手がかりはウォーミングアップクイズと呼ばれるものであり、このクイズを解くと前述したように事件の捜査を進めるための手がかりが得られるため、必ず見つけ出して解かなければならない。


つまり、ミステリーナイトは、チェックインした時から
すでに始まっているのだ!


さてこのクイズは、前述したとおり、すぐ目に付く場所にはなく、部屋のどこかに隠されている
家具の裏やベッドの下など、重いものを動かして探す必要はないが、リピーターであってもなかなか見つけることは難しい。
僕も年によっては、すぐに見つけられることもあればなかなか見つけられないこともあったりと、家宅捜索に要する時間はまちまちである。今年はどうなるかなあと思っていたら…






家宅捜索開始1分でクイズ発見!!wwww



…早く見つかってよかったとは思うがあまりに早すぎて拍子抜けしてしまい、捜索した実感がわかなかった(^^;;

そしてクイズの内容も簡単なものであり、あっという間に解決してしまった(^^;;;;

まあ幸先の良いスタートを切れた、ということにしておこう。

家宅捜索終了!さて一休み…といかないのがミステリーナイトである。
家宅捜索の次は「館内捜索」が待っている。



PM 4:10 館内捜索

事件に関する情報は客室内だけでなく、ホテル内にもヒントパネルという形でいくつか提示されている。このパネルを探し、さらなる情報を得るための捜査のことを館内捜索という。

このパネルには、登場人物のプロフィール、現場となる場所の様子など、その時々で内容やパネル枚数は異なるが、事件に関する情報が書かれている
このパネルの内容も事件の捜査においてきっと役に立つはずなので事件編開始までに必ず確認しておこう。

10分ほど館内を周ってすべてのパネルを確認。これで現時点で得られる情報はすべて得られたこととなる。

この後は少しの間自由行動となるが、いったん部屋に戻り、今回の事件のストーリー、登場人物、舞台となる場所など、これまでに得た情報を整理してみるといいだろう。

後述するが事件編では写真、ビデオなどの撮影や音声の録音は一切禁じられている
そのため、誰が、どこで、どんな行動をとったか、どんな発言をしたかなどをメモに取る、しっかりと記憶するということが非常に重要となる。
その際、人物名がわかっていないと犯人を特定することが極めて困難になる。
そのため、登場人物の名前、そして他の登場人物との関係だけは少なくとも覚えておこう。

特に今回は「同じ顔の男たち」が登場する難解な事件である。
実際に参加してみればわかるが二人は非常によく似ており、少しでも気を抜くとどっちがどっちかわからなくなる可能性がある。
なので、重ね重ねとなるが登場人物のプロフィールはしっかり覚えておこう。

僕もいったん部屋に戻り、これまで得た情報を整理したところで次の予定に向かった。


PM 5:00 ディナータイム

ミステリーナイトでは、オプションとなるのだが和・洋・中のコースディナーを注文することができる。
料理はその時開催されるイベントの事件内容をもとにシェフが考案したものであり、ミステリーナイトでしか味わえない絶品料理である。
さらに、ディナーを味わったものだけがもらえるディナーヒントもある。
事件解決の更なる手がかりが増えるのでぜひ申し込んでみてはいかがだろうか。

今回僕が頼んだのは中華のコース料理。
場所はメトロポリタン2階にある中国料理・桂林(けいりん)さん。


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中国料理 桂林 外観



今回のメニューは以下の通り。

前菜四種盛り合わせ
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生海苔入りふかひれスープ 淡雪仕立て
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牛肉と胡瓜黒味噌炒め 蒸しパン挟み
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小海老と季節野菜入り カンズリ炒め
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真鯛と豆腐の蒸し物 赤葱醤ソース掛け
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蟹肉入りレタス炒飯
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マンゴーのデザート
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どれも美味しそうでしょ?(^^

推理イベントにディナーは必要なのだろうかと思うかもしれないがミステリーの世界には…



謎解きはディナーの後で


とか


腹が減っては推理はできぬ


…ということわざもあるwwww
深夜に及ぶ長時間の推理の前に絶品料理でお腹を満たし、体力を蓄えておこう。

この特別メニューを味わっていたところ、突如店内に声が響き渡った。

何だ?と思いながら辺りを見回すと…


何と二人の婦人警官がレストランに入ってきた!



そして「事件への捜査協力をお願いします」と言いながら各テーブルをまわり
何かの紙を配り始めた。

実はこれ、前述したディナーヒントを提示する合図なのだ。
メトロポリタンでは毎回E-pin企画スタッフではなく、メトロポリタンで勤務するスタッフさんが自ら役を演じ、ヒントを出してくれるのだ!!

そのはじけっぷりはミステリーナイト出演者顔負けであり、スタッフのレベルも年々上昇しているとの噂もあるww


そういえばこうやって寸劇をひろうしてくれてたなあ(^^

これもまた懐かしい、そんなことを思いながらディナーヒントが記載された紙を受け取った。
しかし、ヒントとはいえ、現時点ではそれが何を意味するのかは全く不明である。


果たしてこのヒントが事件解決にどう役に立つのか…


そう思いながら最後までディナーを堪能。
今回のメニューもすべて絶品でした。
桂林さんご馳走様でした。

時刻は午後6時30分。

そしてディナーが終わると事件前にするべきことはすべて終了となる。
あとは各自開演まで思い思いの方法で過ごすことになる。
僕は、自室に戻り、これまでに得た情報を少しでも多く頭に叩き込むため、開演の時まで再度情報を整理することとした。

そのおよそ2時間後…

開場時刻間近になり、僕は必要な荷物を持ち、ミステリーナイトのメイン会場である
3階イベントホールへ向かった。
会場の前にはミステリーナイト開幕を今か今かと待っている探偵たちでごった返している。
その雰囲気だけでもいよいよミステリーナイトが始まるんだなと心が高鳴っていく。

そして…


PM 8:30 イベントホール開場&探偵登録

開場時刻の午後8時30分になり、イベント会場となるホールがオープン。探偵たちが次々と入っていく。
入場の際、「探偵登録」を行う必要がある。
これはいわゆる参加登録というものであり、チェックイン時に配布される専用の用紙に自分の名前と部屋番号を書いてスタッフに提出することになる。
この際、事件を解くためのヒントがひとつもらえるのだ。

このヒントだが、今年初参加の新人探偵過去に参加経験のあるリピーター探偵にはそれぞれ別のヒントが配布される
各人どちらかひとつしかヒントがもらえないが、情報交換というものは可能である。

また、新人探偵とリピーター探偵では受付場所が異なっているので、誰が新人で誰がリピーターかの区別はつきやすくなっており、さらにヒントが書いてある紙の色も異なっている。
自分と違う色の紙を持っている探偵たちがいたら大チャンス。
思い切って声をかけて情報交換を呼びかけてみるのはいかがだろうか。
 
僕もヒントをもらうべく、新人探偵の受付場所に行ってに声をかけ、新人探偵用のヒントをもらう。ヒントの共有を申し出るとその探偵たちは驚きながらも快くヒントを見せてくれた。
新人探偵たちの協力は本当にありがたいものである。

このヒント、そしてウォーミングアップクイズのヒントやディナーヒントもそうだが、先ほども述べたが、もらった時点では何を意味するかは不明である。
だが、このヒントは謎を解く大きな手がかりとなるのでヒントをしっかり覚えた上で観劇しよう。
 
探偵登録後、事件会場となるホールに入場。
ホールには事件編が上演される舞台が用意されており、なかなかの雰囲気が漂っていた。
舞台ぎりぎりまで近づいて今回のステージを確認したのち、指定の座席に着席。
座席は全席指定席であり、チェックイン時に教えてもらえるのでしっかり確認しておこう。
今回の僕の座席は前から2列目と、ステージとの距離は申し分ないが、ステージを右端から鑑賞するような座席だった。
中央部分やステージ左端のほうが少し見づらいだろうか、これが事件編鑑賞にどう影響するか…
そんなことを思いながら開演時刻を待つ。


果たしてこのステージの上で、これから何が起こるのか…



第2話 事件編に続く。